ホットフラッシュは、エストロゲンの減少によって、血管の収縮や拡張をコントロールしている自律神経が乱れることで起こるといわれています。
人によって症状や程度はさまざまで、1日に何度も起こることもあれば、週に何回かだけの場合もあるようです。
ホットフラッシュが更年期症状の代名詞とされる理由は、のぼせやほてりが他の病気の症状だという認識が低く、40~50代の女性特有の症状だという印象がついていることが挙げられます。また、テレビや雑誌などで頻繁に取り上げられることもあるでしょう。
睡眠がうまくとれなかったり、気分が不安定になったりといったさまざまな症状があるのにもかかわらず、「更年期特有の症状といえばホットフラッシュ」という誤った認識があるため、ほかの症状が見過ごされてしまうこともあります。
実際に40~50代の女性がどのような症状に悩んでいるのかというと、
1位:肩こり/腰痛など痛み(40%)
2位:疲れやすい(32%)
3位:寝つきが悪い・眠りが浅いなど眠りに関する悩み(32%)
続いて、やる気が起きない、不安、イライラなどのメンタル面の不調となっています。意外なことに、ほてり(10%)、発汗(9%)は10位以下で、実際には多くの女性が、ホットフラッシュ以外の症状に悩まされていることが分かります。
多くの女性は体の不調を「年のせいだから仕方ない」と我慢してしまうことがあるのではないでしょうか。しかし、それが更年期の症状なのか、単なる加齢のせいなのか、はたまた病気が原因なのかを見極めることはとても難しいですが、とても大切なことなのです。
特に更年期は、ホルモンバランスの変化がもたらすさまざまな症状により、一般的な加齢の症状と混同されがちですが、不調な時期でもケアをすることで健やかに過ごすことは可能です。
また、病気の初期症状を更年期症状と勘違いしてしまうこともあります。たとえば、体の痛みは関節炎や骨粗しょう症のサインである可能性がありますし、気分の落ち込みやイライラは、ホルモン変動以外にも、甲状腺の問題やビタミン不足など、ほかの健康上の問題が原因であることも考えられます。
このような体の問題を見落とさないためにも、まずは自分の体にしっかりと気を配ることが大切です。ゆるれこを利用し、体調や気分を記録して、ちょっとした自分の体の変化にも気がつけるといいですね。
日常生活に支障をきたすような変化がある場合は、医療機関で検査を受け、つらい症状が更年期障害によるものなのか診断を受けることが重要です。血液検査でホルモン値を測定することで、更年期のどのステージにいるのか、またその状態に最適なケアを探す手助けになります。
一般的に更年期には、エストラジオール(エストロゲンの種類の一つ)が50pg/ml以下に低下し、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)という2つの性腺刺激ホルモンの数値が閉経前の数年でだんだん上昇します。
また、更年期以降心配される病気について、普段から気を配っておくことも大切です。健康診断などでは、以下の項目に注目してみましょう。
🔸骨密度 ーおもにX線で検査
🔸コレステロール値 ーLDL(悪玉コレステロール)、HDL(善玉コレステロール)、総コレステロール値
🔸甲状腺機能 ーTSHの測定
気になる症状がある場合は、積極的に病院やクリニックを受診しましょう。必要に応じて、ホルモン治療やアドバイスをしてくれます。一般的には婦人科を受診しますが、インターネット検索や、知人の紹介などで専門医を探すのも良いでしょう。
更年期は、新たなライフステージへの移行期で、自分自身の体に耳を傾け、適切なケアをする絶好の機会でもあります。不調なタイミングでも無理せず、自分をいたわりながら、必要であれば医療の手を借りることで、健康な未来を築くことができます。
しかし、忙しい毎日のなかで自分自身の健康に気を配ることは意外と難しいものです。すべてを自分一人で抱え込まなくも大丈夫です。「不調が続いているな」と思ったら、迷わず専門家の手を借りて、自分をケアしてあげることで健康的な未来を築くことができます。